

教会暦とは
About Liturgical Calendar
キリスト教会の典礼で用いられる暦を「教会暦(典礼暦)」と呼びます。教会の一年はキリストの降誕を待つ「待降節」に始まり、終末の君臨を思い起こす「永遠の王キリスト」をもって終わります。
各期節、各祝日には「典礼色」が定められており、主に希望や成長を表す「緑」、喜びや栄光を表す「白」、改悛や王の尊厳を表す「紫」、聖霊や殉教を表す「赤」の4色が用いられます。典礼色は礼拝堂聖壇の装飾や牧師の祭服に反映されます。

※上図はあくまで一例であり、暦によって祝日や期間が移動伸縮します。
主な期節・祝日について
待降節(アドヴェント)
クリスマス(12月25日)から数えて4つ前の日曜日から始まります。イエスの誕生を待ち望む期間です。典礼色は慎みと悔い改めを表す「紫」が用いられます。希望を表す「青」を用いることもあります。
主の降誕(クリスマス)
12月25日の固定祝日です。救い主イエスがこの世に生まれたことを祝います。ローマの冬至祭に合わせて設定された歴史があります。冬至は昼の長さが夜の長さより長くなり始める日であるため、この世に救いの光がもたらされることを象徴する日でもあります。典礼色は喜びと栄光を表す「白」が用いられます。
降誕節
クリスマス以後は「主の顕現」の祝日まで「降誕節」としてイエスの降誕を祝う期間が続きます。クリスマスツリーなどの装飾は引き続き飾り続けます。典礼色は喜びと栄光を表す「白」が引き続き用いられます。
主の顕現(エピファニー)
1月6日の固定祝日です。1月2日から5日の間に日曜日がある場合はその日に振り替えられることもあります。救い主イエスがこの世に現れたこと、東方の三博士が輝く星に導かれて幼子イエスを訪問し礼拝した出来事を記念します。典礼色は喜びと栄光を表す「白」です。
主の洗礼
1月7日以降の最初の日曜日に設定される移動祝日です。イエスが洗礼者ヨハネによって洗礼を施され、天から神の声と聖霊が降った出来事を記念します。典礼色は喜びと栄光を表す「白」です。
顕現節
「主の顕現」から「主の変容」までの期間は「顕現節」として、イエスの生涯と教えを学ぶ期節となります。典礼色は主に信仰の成長を表す「緑」が用いられます。
主の変容
顕現節の最終主日として設定される移動祝日です。イエスが弟子たちの前で光り輝く姿に変容し、旧約聖書の預言者であるモーセとエリヤの二人と語り合った出来事を記念します。典礼色は栄光を表す「白」です。
灰の水曜日
「主の変容」直後の水曜日に設定される移動祝日です。この日から四旬節が始まります。旧約聖書の民が悔い改めのために灰を用いたことにならって額に灰で十字架のしるしを描き、悔い改めの日々へと入ります。典礼色は慎みと悔い改めを表す「紫」です。
四旬節(レント)
「灰の水曜日」から復活祭の前日までは「四旬節」として、40日に6回の主日を加えた46日間、復活祭に備えて悔い改めの生活を送ります。食事の節制が推奨されますが、行為より信仰を重んじるルター派では強制はされません。典礼色は慎みと悔い改めを表す「紫」または流されたイエスの血潮を表す「赤」です。
枝の主日
四旬節最後の主日として設定される移動祝日です。イエスのエルサレム入城と受難を記念します。入城の際に市民が棕櫚(シュロ)の枝を用いて歓迎したことから「枝の主日」「棕櫚の主日」と呼ばれます。典礼色は慎みと悔い改めを表す「紫」です。
聖週間
「枝の主日」から復活祭までの1週間は「聖週間」としてイエスの十字架への歩みを思い起こします。聖週間のうち、木曜日から土曜日までは「大いなる三日間」として守ります。イエスが弟子たちの足を洗って謙遜を示し、また過越祭の食卓で聖餐を設定したことを記念する「聖木曜日」、イエスの十字架上での受苦と絶命を思い起こす「聖金曜日」、十字架から降ろされ墓に納められたイエスを心に留める「聖土曜日」が含まれます。主として用いられる典礼色は、聖木曜日は聖なる過越を表す「白」、聖金曜日は死と悲しみを表す「黒」、聖土曜日は礼拝堂の装飾を取り払う「典礼色なし」です。
主の復活(イースター)
「春分の日の後の満月に続く日曜日」に設定される移動祝日です。厳密には「聖土曜日」の日没とともに始まります。イエス・キリストのよみがえり、つまり死に対する勝利を喜び祝います。復活のイエスを信仰するキリスト教会にとって最も重要な祝日です。典礼色は喜びと栄光を表す「白」です。
復活節
復活祭から「聖霊降臨」までは「復活節」としてイエスの復活を喜び祝う期間となります。典礼色は喜びと栄光を表す「白」です。
主の昇天
復活祭から40日目に設定される移動祝日です。復活節最後の主日となります。イエスが復活後の40日間弟子たちを教えたのち天に昇っていった出来事を記念します。典礼色は栄光を表す「白」です。
聖霊降臨(ペンテコステ)
「主の昇天」の次の日曜日に設定される移動祝日です。復活から50日目に弟子たちに炎のような聖霊が与えられて全地への宣教が始まったことを記念します。古典ギリシア語で「50番目」を意味する「ペンテコステ」とも呼ばれます。典礼色は聖霊の働きを表す「赤」です。
三位一体
聖霊降臨後の最初の日曜日に設定される移動祝日です。キリスト教会が信じる神が「父」「子」「聖霊」の三位一体であることを心に留める祝日です。典礼色は栄光を表す「白」です。
聖霊降臨後の期節
聖霊降臨から次の待降節までは、イエスの生涯と教えを学び宣教へと歩み出す期節となります。典礼色は成長を表す「緑」です。
宗教改革日
10月31日に設定されるプロテスタント教会特有の固定祝日です。礼拝は直前の日曜日に振り替えられることもあります。1517年10月31日にマルティン・ルターが『95箇条の論題』によって神学討論を提起したことから、この日を宗教改革が始まった日として記念します。典礼色は聖霊と殉教を表す「赤」です。
全聖徒の日
11月1日の固定祝日です。礼拝は直後の日曜日に振り替えられることもあります。天の国にあるすべての聖徒と、先に召された全ての人々を思い起こして祈ります。「万聖節」とも呼ばれます。典礼色は永遠と栄光を表す「白」です。聖霊と殉教を表す「赤」を用いることもあります。
永遠の王キリスト
教会暦の最後の主日です。世の終わりにイエス・キリストが永遠の王として君臨することを覚えて祈ります。典礼色は永遠と栄光を表す「白」です。聖霊降臨後最終主日として引き続き「緑」を用いることもあります。